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堀日記

◆2009年06月15日(Mon)
【6/15 『答え』】






時折、一人でどこか遠くに
行きたい衝動に駆られる







今日、ふとそう思い、
北赤羽からすぐに王子に戻らず




埼京線に乗りながら、
故郷の街、浮間舟渡を見てきた。


電車で王子からせいぜい
25分と近いし、自転車でも
行けるのだが、縁が無く

訪れるのは実に8〜9年ぶりだった。



記憶の中に、断片的に残る光景。


“四人”で住んでいた、
オレンジ色のマンション


家の庭のようだった浮間公園。


そして相変わらず煙を上げる工場の街。





曖昧な記憶しか無いが、
確かに自分はそこを覚えている。

そこに居たのだ。



そして蘇る灰色の記憶。
懐かしさと悲しみ怒りが混ざった
複雑な感情が胸を走った。



懐かしいと感じるのは当然だが
何故そんな気持ちになるのか

しばらくは理解できなかった。




そして、戸田公園まで
電車に揺られ、反対側のホームから
再び赤羽に戻った。


京浜東北線のホームに戻って
電車を待っていたが…
未だに複雑な感情に
答えは出ない。


だが、一つ仮説を立ててみた。


自分のこの気持ちの原因が
何なのか、遠くでちらついて
見えた気がしてきた。





そして気付いたら俺は
京浜東北線に乗っていた。



王子とは逆方面の。








向かった先は――



















生まれ故郷、川口。




俺が王子に来たのは7才の時で
それまでは浮間舟渡にいた。

俺にはその記憶までしか無いのだが


俺が生まれてから2年間は
川口で暮らしていたそうだ。




ここに来れば何かが
分かる気がしたのだ。

その通りだった。



名前も知らない建物なのに
妙な既視感がある。


そして幼い頃の記憶が蘇る。







窓から見える街並みを
歩いている四人家族。





兄。そしてその兄の手を握る母


俺、そして俺を背負っているのは――







仮説が、答えに変わる。




そう思うと胸が締め付けられた。

今更ながら辛かった。


よく幼い頃の俺は
耐えたモンだと思った。







13〜4年ぶりに訪れた上、
訳あって親から思い出話を
聞く事も無かったのだが

確実に俺はこの街を知っていた。


人間の記憶の性能の良さを呪った。










全て忘れていれば
辛くもないのに―







怒りとも悲しみとも違う、
また不思議な感情が胸を走る。










ホームで大きな溜め息をして、
俺は王子に戻る事にした。




駅にしてみれば浮間舟渡は4駅、
川口は3駅なのだが


あまりにも遠い距離を感じた。

また、それは精神的なもの。









皆に守られ、愛され、
確実に幸せだったであろう自分。











そして俺をおぶっていた

“その人”の存在。



居ない事に慣れすぎて忘れていた。







父さん――





大雑把で、ヘビースモーカーで
酔っ払いで、あんまり
帰ってこなかったけど


その大きい背中が大好きだった。




いつも見ていた。




俺もいつか、そうなりたい
って幼いころ夢見てた気がする。



記憶の限りじゃ尊敬
できる事の方が
少ないんだけどさ…(笑)




小さい頃、これだけは
真面目な顔で言われた

『強くなれ』って。



まだちゃんと覚えている。

たった一言だけの
唯一の父親らしい言葉。






――気付けば電車は王子に着いていた。






普段から帰ってこないのが
当たり前な人だったから、



しばらく居なくても
別に気にしなかった。


そしてそのまま、気付けば
9年経っていた。



今じゃ生死すら分からない。





でも記憶が消えない限り
どこかでつながってるんだね。




俺もすっかりこの街に馴染んだ。

身体だって多分父さんよりでかいよ。

大きな夢だって出来た。

大切な仲間も、守るべき恋人も出来た。



俺は『強く』なったと思う。





会わなくても、分かるよね?



俺はアンタの息子だからな、
どう成長するかなんて、
だいたい予想つくだろ?笑


期待通り、普通には生きてないよ(笑)




でも、俺がこんなムチャするのも

父さんと繋がってる『証』だと思ってる。


そして父さん譲りの“ムチャ”に
着いて来れる奴に会ったんだ。


いつか紹介したいよ(笑)




母さんも元気だよ。
ちょっと疲れてるけど…


兄貴は……うん、期待通り(笑)






まぁそんなカンジ。



それとね、すごい当たり前の事に気付いたんだ

王子に戻って深呼吸して。




ホームに立ったら。
全て分かったよ。






浮間舟渡や川口の俺は
アンタに甘やかされた次男坊。

とても弱い存在だった。



だが、この街の俺は

アンタの力を借りず、
なるべく一人で頑張って来た。











その結果、今すごく周りに
恵まれている。








感謝してるよ。
俺は強くなった。











でも、さほど会いたい訳じゃない。






アンタは『過去』だから。



『過去』の弱い自分を
俺は胸に生きていく。







そして…

父さんを胸に。






決して好きじゃなかったけど









…ありがとう。



今ならわだかまり無く
受けられられるよ。アンタを。





今だからこそ。











まぁ俺が有名になったら
いつか会えるかも知れないな。




そしたら俺のおごりで
父さんの愛して止まなかった
酒でもおごってやろうかと思っている。


初めて、『父親孝行』してやろう。


そして初めて呼ぶんだ。



『親父』ってな。







それが俺の密かな夢。







こんな話、明桜はおろか
柳田だった奴等にも全く

教えていなかった。

無論、シャンタールにも。




今、語る気になったのは




やっとアンタの罪を
受け入れられたから。

過去だと割り切れたから。


『弱さ』との決別をする
時が来たって事だ。





そろそろ終わらなきゃ。



じゃあな。

ありがとう『親父』






以上






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